WP Rocketとは:総合キャッシュプラグインの主な機能とデメリット・メリット(3.23.5.1 Ver)

WP Rocketとは、WordPressのページをHTMLキャッシュファイルとして前もって作っておき、次の訪問者にはPHPを通さずそのファイルで応答させる有料キャッシュプラグインです。代替プラグインをすすめる比較記事の主張を確かめるため、Nginx + Apacheサーバーで同じ記事をPHPの応答とキャッシュファイルの応答でリクエストしたところ、最初のバイトは1,432.4msから15.6msに短くなりました。
Ⅰ. WP Rocketとは(What is WP Rocket)
WordPressの高速化と言うと画像やコードを減らすことを先に思い浮かべますが、WordPressのキャッシュプラグインであるWP Rocketの中心はページキャッシュです。訪問者が記事を初めて開いたときに完成したHTMLをファイルとして保存し、同じURLへの次のリクエストはそのファイルで応答します。キャッシュファイルで応答するのは、食堂が昼の客が押し寄せる前によく出るメニューを先に盛り付けておくのと同じです。
WP Rocketの プリロードは、訪問者が来る前にページを前もってリクエストしてキャッシュファイルを作り、キャッシュを空にするたびに作り直します。この機能はプラグインをインストールすると既定でオンになっており、測定したNginx + Apacheサーバーでもオンの状態です。
同じサーバーのアクセスログでは、プリロードのリクエストが一日中入っていました。応答時間が記録されたリクエストのうち約77%はキャッシュファイルがないURLで、PHPを通してキャッシュファイルを新しく作りました。
Nginx + Apacheサーバーではnginxがこのファイルを直接見つけて応答し、応答ヘッダーに[x-rocket-nginx-serving-file: HIT]が表示されます。
curl -sI https://example.com/wp-rocket/ | grep -i -E 'x-rocket|content-type'content-type: text/html
x-rocket-nginx-serving-file: HITcurl -sI 'https://example.com/wp-rocket/?test=1' | grep -i -E 'x-rocket|content-type|cache-control'content-type: text/html; charset=UTF-8
cache-control: max-age=0URLの末尾にクエリを付けたリクエストはキャッシュファイルなしでPHPがページを新しく作り、ヘッダーに[charset=UTF-8]と[cache-control: max-age=0]が付きました。同じサーバー内でURLごとに10回リクエストした最初のバイトまでの時間の中央値は次のとおりです。
| リクエスト | 応答した場所 | 最初のバイト(10回の中央値) |
|---|---|---|
| キャッシュファイルがあるURL | nginxがキャッシュファイルをそのまま応答 | 15.6ms |
| URLの末尾にクエリを付けたリクエスト | PHPがページを新しく生成 | 1,432.4ms |
WP Rocket公式ページは長所を、すぐ出る結果、強力な機能、互換性、アップデートとサポートの4つで紹介しています。インストールするとWebパフォーマンスのベストプラクティスの80%が自動で適用されるという文言は公式の主張で、測定結果は一緒に示されていません。
マネージドホスティングのWP Rocketへの向き合い方は事業者ごとに違います。Kinsta公式ヘルプは、以前は禁止していたWP Rocketを今はパートナーとして紹介しており、WP Engineの禁止プラグイン一覧にWP Rocketはありません。
Pressableのナレッジベースは、WP Rocketのキャッシュ機能はサポートせず、ページキャッシュを無効にすれば最適化機能は使えると案内しています。WP Engineも2021年の公式ブログで、WP Rocketがキャッシュ機能を自ら無効にして最適化機能だけが動くと紹介しました。
サーバーに独自のページキャッシュがあるホスティングでは、WP Rocketを最適化機能中心に使うことになります。
WP Rocketの公式ドキュメントは2026年10月18日確認時点で335本で、FlyingPressの93本、Perfmattersの137本より多いです。キャッシュとファイル最適化のほかに、プラグインの互換性、表示崩れ、エラー解決のドキュメントが別にあり、MCPのドキュメントは2026年9月に更新されました。
ブログには、PageSpeed InsightsとGTmetrixのレポートの読み方や、WordPress 7.1の互換性障害の原因と対応を公開した記事があります。カスタマーサポートはライセンス料金に含まれます(WP Rocket公式ページによる)。
WP Rocketでは、管理画面の記事一覧で記事名の下にある[このキャッシュを削除]から記事1つのキャッシュだけを空にできます。 WP Rocket MCP Serverを接続すると、AIツールからも記事1つのキャッシュを空にできます。
FlyingPressは数年前に2回購入して使った後、どちらも返金を受けました。機能は悪くありませんでしたが、当時は記事一覧から記事1つずつキャッシュを消す機能がありませんでした。
今の版の公式ドキュメントと更新履歴にも記事一覧の削除項目はなく、1ページだけ消す機能は2020年10月の版からあります(FlyingPress公式ドキュメントによる)。
よく考えてみると 記事が増えるほど、記事1つを直すたびにキャッシュを全部空にするやり方は負担が大きくなります。WP Rocketは個別記事の削除ができるのですが…
ほかのキャッシュプラグイン(FlyingPressを含む)も持ちこたえはするでしょうが、WP Rocketほどになるでしょうか?
では、開発人員と技術力を持つWP Rocketが、代替プラグインにある画像圧縮のような機能を入れない理由は何でしょうか?
正確な理由はわからないため、以下は確かめていない推測です。
- 機能が増えるほど、ほかのプラグインやテーマと衝突する可能性が高くなります。
- 代替プラグインが入れた機能もエラーなく動くという保証はありません。
- 機能を1つ足すことが、より大きなエラーにつながることがあります。
- 安定した機能だけで速さが確保できるなら、機能を足して得る差は大きくないかもしれません。
同じ会社は画像圧縮をImagifyとして別に出していますが、それが理由だと断定はできません。
テストサイトで未使用CSSの削除を有効にするとスマホのメニューが開かず、運営中の記事はこの機能をオフにしてもレンダリングブロックが0msでした。この結果も理由だとは断定しません。
uknewのコンテンツが1万件を超えたら、改めて答えます。
Ⅱ. WP Rocketの料金:1年ライセンスと自動更新
キャッシュが速くても、ライセンス費用は毎年かかります。公式料金画面によると、WP Rocketは無料版なしでサイト数に応じた3つのライセンスを販売しており、居住国によって税金が加わることがあります。
| ライセンス | サイト数 | 1年料金 |
|---|---|---|
| Single | 1サイト | $59.95 |
| Plus | 3サイト | $119.95 |
| Multi | 50サイト | $299.95 |
Multiはサイト数を50・100・500から選べます。
ライセンスは12か月単位で、自動更新が既定でオンになっています。3つのライセンスすべてに性能測定ツールRocket Insightsが無料で含まれます。
14日間の無料体験は支払い方法を登録すると始まり、14日以内に取り消さないと最初の決済が自動で行われ、1年ライセンスが始まります。すぐに購入した場合も、14日以内なら全額返金を受けられます。
Ⅲ. FlyingPress推薦記事の5つの主張:公式ドキュメントと実測で照合
FlyingPressのような代替プラグインを1位にした比較記事が多いからといって、その主張がすべて測定されたものではありません。代替・比較検索の1ページ目で読んだ記事15本のうち、独自の測定結果を載せた記事は5本でした。
読んだ記事のうち、FlyingPressを1位にした英語記事は3本で、3本ともFlyingPressの紹介リンクが付いていました。NitroPackを1位にした記事4本のうち3本はNitroPackの会社自身が書いた記事でした。
WP Rocketの会社のFlyingPress比較ページにも速度の測定結果はありません。このページは設定時間と互換性、更新年数を比較項目にしています(WP Rocket公式比較ページによる)。
1️⃣ 5つの主張と確認結果
それらの記事が共通して挙げる5つの主張を、公式画面とサーバーの実測で照らし合わせました。
5つの主張のうち、公式画面・実測と同じものが3つ、公式履歴・実測と異なるものが2つでした。
公式更新履歴によると、[New]と書かれた行は2022年0行、2023年1行でしたが、2024年2行、2025年3行と増え、2026年は10月2日までに9行です。2022年は[New]の行の代わりに、Remove Unused CSSの大改編と新しいPreloadモジュールが[Enhancement]として書かれています。版は毎年21〜32回出ました。
公式更新履歴によると、遅延レンダリング(Automatic Lazy Rendering)は2024年に新機能として追加されました。Googleフォントのローカルホスティング(Self-Host Google Fonts)は2025年に追加されました。比較記事の中には、この2つの機能をまだない機能として書いた記事があります。
未使用CSSの削除のインライン方式は比較記事ごとに評価が逆で、代替記事はHTMLが重くなり、抜けたスタイルがあると画面が崩れると指摘します。同じNginx + Apache構成のテストサイトで、この機能をオフにした状態とオンにした状態を直接比べました。
オンにするとCSSファイル2つが除外され、そのページに必要なCSSだけがHTMLの中に入ります。PC画面基準のHTMLとCSSの転送量(gzip)は28.7KBから22.0KBに減りました。
PageSpeedのモバイルスコアはどちらも100、LCPは1.6秒で同じで、レンダリングをブロックするリクエストの項目(推定削減430ms)だけがオンの状態で消えました。
必要なCSS(Used CSS)はWP Rocketのサーバーで作られます。アクセスログには、最初の訪問の約45秒後にWP RocketのサーバーがこのページをPC画面用とモバイル画面用に1回ずつリクエストした記録が残りました。生成は最初の訪問の約1分後に終わりました。それまでページは元のCSSファイルで応答し、1920pxと390pxの最初の画面はオンにする前と同じでした。
ただし必要なCSSにはメニューが開いた状態のルールが入らず、スマホでメニューボタンを押してもメニューが開きませんでした。この機能をオフにしてキャッシュを空にした後は、メニューが再び開きました。
公式ドキュメント によると、このように抜けたスタイルは設定の[CSS Safelist]欄にクラス名を入れると必要なCSSに含まれます。
実際に運営中のNginx + Apacheサーバーの記事3本をこの機能をオフにした状態で測った結果、レンダリングをブロックするリクエストの項目は3本とも最初から合格でした。[使用していないCSSの削減]の項目の推定削減は2本が12KiBと23KiBで、1本は合格でした(2026年10月18日 PageSpeedモバイル基準)。
オンにして減らせる分はこの程度で、テストサイトではオンにした後スマホのメニューが開きませんでした。
2️⃣ 画像圧縮とCDN:両方の公式料金
代替推薦記事は、画像圧縮がないこととCDNが別料金であることをWP Rocketの弱点に挙げます。同じ項目を代替プラグインの公式ドキュメントと料金画面で確認しました。
WP Rocketは画像圧縮をプラグインの中に置かず、設定画面の[Image Optimization]タブで同じ会社が作った別プラグインImagifyを案内します。
FlyingPressは2026年1月の5.3版から、JPG・PNG画像をFlyingPressのクラウドサーバーに送ってWebPやAVIFに変換します。LiteSpeed Cacheも画像圧縮をQUIC.cloudのサーバーで処理します。
公式ドキュメントによると、LiteSpeed Cacheは画像をまとめてQUIC.cloudに送り、最初は1まとまりだけ送って結果を受け取った後、だんだん大きなまとまりを送ります。サポートフォーラムには2026年にも、リクエストが1%で止まったり最適化された画像がサイトに戻ってこなかったという報告があります。
FlyingPressはApacheとNginx、LiteSpeedサーバーで動作し、サーバー側の要件は特にありません(公式ドキュメントによる)。LiteSpeed Cacheのページキャッシュは、LiteSpeedサーバーかQUIC.cloud CDNがないと動作しません(公式要件による)。Nginx + Apacheサーバーでは画像圧縮とCSS・JS最適化だけを使うことになります。
CDNはWP RocketとFlyingPressのどちらも別料金です。RocketCDNはドメイン1つにつき1年79ドル(WP Rocketユーザー基準)で、静的ファイルだけをCDNから配信し、HTMLは元のサーバーが応答します。FlyingCDNはドメイン1つにつき月10ドルで、100GBを超えると100GBごとに5ドルが加わります。FlyingCDNはCloudflare EnterpriseのネットワークでHTMLページまでキャッシュします。
LiteSpeed Cacheと一緒に使うQUIC.cloud CDNは、米国・欧州のノード6か所の無料プランを帯域幅の制限なく提供しています。2026年11月10日からは、無料または月5ドル(100GB)から始まる月額プランに変わります(公式ドキュメントによる)。
両社の公式ドキュメントによると、ライセンスが終わるとWP Rocketはキャッシュがそのまま動作し、クラウド機能だけが15日後に止まります。FlyingPressは最適化のほとんどがクラウド処理のため、ライセンスが終わると動作しません。LiteSpeed Cacheはwordpress.org公式FAQに常に無料のオープンソースと書かれたプラグインなので、ライセンスが終わることはありません。CDNや画像最適化、Critical CSSのようなQUIC.cloudのサービスは一定の使用量から有料です(QUIC.cloud公式ドキュメントによる)。2026年10月から無料枠は画像最適化月100枚などです。
Ⅳ. WP Rocketが担わないこと:画像圧縮とキャッシュ外のリクエスト
ページキャッシュは、多くの訪問者が同じページを読むブログや紹介ページに向いています。訪問者ごとに内容が違うページと画像の容量はWP Rocketが処理せず、画像の容量は同じ会社(WP Media)の圧縮プラグインImagifyで減らすことになります。
| WP Rocketがすること | 担わないこと | それを担う側 |
|---|---|---|
| ✓多くの訪問者が同じページを読むブログや紹介ページを、キャッシュファイルで応答します。Nginx + Apacheサーバー実測15.6ms | ✕訪問者ごとに内容が違うページ | — |
| ✕画像の容量を減らすWP Rocketの中には画像圧縮機能がありません。 | Imagify:同じ会社 ➡️ WP Mediaの圧縮プラグイン | |
| ✕URLの末尾にクエリが付いたリクエストキャッシュファイルなしで処理されます。 | PHP · 広告クリックURL ➡️ gclidキャッシュ設定の確認 |
Nginx + Apacheサーバーのアクセスログでは、クエリが付いた記事のリクエストはすべてPHPが応答し、キャッシュファイルで応答したことはありませんでした。広告クリックのURLのようにクエリが付いて入ってくる訪問は、 gclidキャッシュ の設定もあわせて確認します。
Nginx + Apacheサーバーでのキャッシュファイル応答は15.6msで、インストール後は WP Rocket設定ガイドでメニューごとの既定値を決めることになります。
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